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社員紹介報酬について

2015.03.31労務

 急拡大している企業では、人材の採用がなかなか会社の採用計画通りに行かず、莫大な広告費用を費やしているにもかかわらず、結果に繋がらないケースがございます。  このような状況で、「自社の社員」が知り合いを勧誘し、採用につなげる方法が多くあり、この場合に入社が成約したことへの報奨としてとして社員紹介報酬を支給するというような、「社員紹介制度」を導入している企業が増えてきております。  日本では職業紹介は許可制になっており、許可を持たない者(個人を含む)に対して、報酬を支給することは原則として認められておりません。  ただし、社員に対して賃金として支給する場合は例外として認められていますが、この場合、職業安定法第40条に留意して制度の整備、実務の運用を行う必要がございます。 illust2092.gif

sikaku-blue.gif  職業紹介制度に関する職業安定法上の留意点
 職業安定法第36条(委託募集)
 
  労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとすると きは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。 2 前項の報酬の額については、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 3 労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えることなく労働者の募集に従事させようとするときは、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 職業安定法第40条(報酬の供与の禁止)
 
  労働者の募集を行うものは、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
  職業安定法では、企業の行う労働者の採用にあたって、文書での募集および直接募集については自由とされていますが、第三者に委託して行う委託募集については許可制または届出制とされています。
   「文書での募集」とは、求人募集広告等を利用して行う採用活動のことを指しており、「直接募集」とは、企業が、文書募集以外の方法で、自ら(=社員を含む)して行う労働者の募集のことを指しています。 社員紹介制度はこの「直接募集」にあたるように制度を設計し、「委託募集」とならないように注意しなければなりません。
sikaku-blue.gif 社員紹介報酬の支給方法
  社員紹介報酬を、企業による「直接募集」による対価として支給するには、職業安定法第40条で「賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合」に該当するよう、「報酬」ではなく「給与」として支給する必要があります。 その場合、以下の点に留意する必要がございます。
 
  支給方法を「月次給料に加算」「賞与に加算」など算定期間、支給時期等について検討する
   月次給料・賞与いずれに加算する方式であっても、社会保険料・雇用保険料の算出の基礎に含めること
  月次給料に加算する場合、時間外割増賃金の算出の基礎に含めること
   賃金・給与規程に規定し、制度を明文化すること
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